
地域理学療法学 ~多様な領域におけるEBMの視点と実践 2025~
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石垣智也 先生 / 尾川達也 先生 / 牧迫飛雄馬 先生 / 池田耕二 先生 / 古川博章 先生 / 池田登顕 先生 / 森優太 先生 / 武田広道 先生 / 脇田正徳 先生 / 清水夏生 先生 / 三浦佳代 先生
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2025年9月1日(月)、03日(水)、08日(月)、2025年12月1日(月)、02日(火)
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20:00-21:30
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通常価格
プレミアム会員7,000円 (税込)無料
次回の配信: 09月08日(月) 20:00〜21:30
地域理学療法における機能・活動・参加
講師:石垣智也 先生 / 尾川達也 先生 / 脇田正徳 先生 / 清水夏生 先生 / 三浦佳代 先生
※本プログラムは、LIVE配信と動画配信を組み合わせたハイブリッド形式で実施いたします。初回の事前シンポジウム3回および最終回の総括ディスカッション1回はLIVE配信にて行い、第1講義から第10講義までの本講座は、内容をアップデートのした新たな事前収録による動画配信となります。(動画の配信は9/8より順次公開いたします。)動画講座は、これまでの1コマ90分の形式から、1本あたり15〜20分程度の短編動画を4本前後に分けて構成し直しました。臨床現場で生じやすい具体的な疑問に沿って、内容を整理・再構成しており、より実践的に役立つ講座となっています。
【コース概要と学習目標】
本系統講座では、高齢者を対象とした介護予防や通所・訪問リハビリテーションの現場における「地域理学療法」を主なテーマとして取り上げます。系統講座の導入部では、地域理学療法の基盤となるEBM(根拠に基づく医療)、予防の視点、さらには環境要因の重要性について学びます。そのうえで、地域理学療法に関する基本的理解を土台に、臨床現場で実際に生じる疑問に対して、科学的根拠(エビデンス)と具体的な例示を交えて解説し、実践に活かせるより深い学習成果を目指します。
【アップデートのポイント】
各講義内容を臨床疑問に対応する形で整理し、ひとつの内容をより短く分割することで、学習しやすい構成へと再編しました。また、これまでの講義内容についても、エビデンスや知見を最新のものにアップデートしつつ、地域理学療法において重要な視点である「環境」に注目し、新たに2名の講師をお迎えしています。
1人目は、山形大学の池田登顕先生です。ICFの枠組みに基づき、個人因子・環境因子、そして健康の社会的決定要因に焦点を当てた内容を講義いただきます。ICFは理学療法士に限らず、作業療法士や言語聴覚士にとっても不可欠な視点であり、背景因子の健康への影響を理解することは、地域理学療法の実践をより多角的かつ包括的にとらえる上で非常に重要となります。
2人目は、北陸大学の武田広道先生です。通所リハビリテーションにおける「バディ」「ピア」「集団」など、当事者同士の関わりを活かした支援のあり方を中心に講義いただきます。これは、訪問リハビリテーションでは得がたい、通所ならではの可能性に着目したものであり、個人因子・環境因子と集団介入のエビデンスを踏まえた、間接的な支援の意義を深める内容となります。
この他、在宅における緩和ケア・終末期リハビリテーションの実践については、訪問看護ステーションほっぷの古川博章先生にご登壇いただき、実際のケースをもとにした解説いただきます。また、「自立支援」の重要性に加え、これからの超高齢社会においてますます重視される「尊厳」に焦点を当てた“自律支援”という新たな観点からの学びも加わります。
地域理学療法がカバーする領域は非常に広範であり、それぞれの現場で多様な課題が存在します。本系統講義では、高齢者を中心とした実践とエビデンスを統合的に学ぶことができる、他に類を見ない内容となります。皆さまの専門性をさらに高め、地域におけるより良い実践に資することを心より願っています。
【各講義概要】
第1講義:地域理学療法の理解と要介護高齢者を対象とした自立支援のあり方 ~アウトカム評価の活用~
講師:石垣 智也 先生
本講義では、まず「地域理学療法」とは何か、その定義や役割について整理し、地域における理学療法の基盤的な概念を理解する。次に、要介護高齢者を対象とした自立支援の意義と具体的な捉え方を、生活機能やQOLの観点を踏まえつつ学ぶ。さらに、日本の介護保険領域における地域理学療法の現状や課題を踏まえ、自立支援を実現するために重要となるセルフマネジメントについて解説する。最後に、自立支援やセルフマネジメントを促進するためのアウトカム評価の活用法を紹介する。
<学習を通した到達目標>
・地域理学療法の概念を理解する
・要介護高齢者における自立支援の捉え方を理解する
・セルフマネジメントの重要性と地域理学療法における関わりを理解する
・自立支援・セルフマネジメントを促進するためのアウトカム評価の活用を理解し、実臨床で活用できる視点を得る
<講義内容>
・地域理学療法をどのように捉えれば良いのか?
・要介護高齢者に対する自立支援のあり方とは?
・自立支援のためにセルフマネジメントがなぜ必要なのか?
・自立支援・セルフマネジメントを促進するアウトカム評価の活用とは?
第2講義:地域在住高齢者の意思決定を支える視点と実践 ~私らしさを尊重する自律支援~
講師:尾川 達也 先生
本講義では、高齢者のQOL向上を目指す上で「自立」のみならず、「自律」の視点が不可欠であることを中心に取り上げる。特に、目標設定を含む意思決定場面において、専門職が対象者の価値観に配慮して関わる重要性を解説していく。また、対象者との合意形成を目指す共有意思決定(Shared Decision Making:SDM)の基本的な枠組みを紹介し、地域在住高齢者の自律を支援する具体的な方法を解説する。
<学習を通した到達目標>
・高齢者のQOLに関係する自律の視点を学ぶ
・地域理学療法領域でEBMを実践する際に重要となる患者の価値観について理解する
・対象者1人1人の価値観を考慮した意思決定方法を学ぶ
・自律性に影響する能力や支援者、環境について学ぶ
<講義内容>
・自立から自律へ:高齢者支援に求められる新しい視点
・地域理学療法における意思決定の基礎:EBMと同意の取り方
・対象者の価値観を考慮した決め方:Shared Decision Makingの実践
・高齢者の自律を支える要因:能力 × 支援者 × 環境の影響
第3講義:地域理学療法の現在地から未来に向けたエビデンスのアップデート
講師:牧迫 飛雄馬 先生
これまでに地域理学療法ガイドライン第1版(2011年)、第2版(2021年)が発表されており、地域理学療法に関する一部のエビデンスが整理されつつある。これまでのガイドラインの成果を踏まえて、今後のエビデンスアップデートに向けた課題について考える機会としたい。地域に関わるセラピストにおけるエビデンスのアップデートに対する意識がさらに醸成されていくことも望まれる。
<学習を通した到達目標>
・これまでのガイドラインの概要を理解できる。
・地域理学療法に関するエビデンスの現在地を把握することができる。
・理学療法の未来に向けたエビデンスのアップデートのための課題を考える。
<講義内容>
チャプターⅠ
・根拠に基づく医療(EBM)の4要素
・地域理学療法ガイドライン第1版(2011年)①
―理学療法評価(指標)の推奨グレード
チャプターⅡ
・地域理学療法ガイドライン第1版(2011年)②
―通所や訪問などの介入効果
チャプターⅢ
・地域理学療法ガイドライン第2版(2021年)①
―低強度筋力トレーニングの効果
―ウォーキングの効果
チャプターⅣ
・地域理学療法ガイドライン第2版(2021年)②
―施設入所高齢者に対する運動療法の効果
・未来に向けたエビデンスのアップデートの課題
第4講義:在宅における緩和ケア・終末期リハビリテーションの実践 〜対象者の人生に寄り添う療法士の在り方〜
講師:池田 耕二 先生、古川 博章 先生
緩和ケア・終末期におけるリハビリテーションは、身体・生活機能の維持とどまらず、「生きること」「死」「病い」に伴う苦悩へのケアなど、理論的かつ実践的な枠組みが求められる。
本講義では、在宅における緩和ケア・終末期リハビリテーションを行う上で必要な視点、理論的・実践的枠組みを整理し、具体的な臨床実践を交えて紹介する。
<学習を通した到達目標>
・在宅での緩和ケア・終末期リハビリテーションに必要な理論的・実践的枠組みが理解できる
・キュア(治療)とケア(支援)の視点が理解できる
・臨床事例を通じて、学んだ理論を実践に応用できる
<講義内容>
・緩和ケア・終末期におけるセラピストの役割と理論的枠組み
・緩和ケア・終末期における実践的枠組みと家族・介護者ケア
・理論と実践の臨床適用
第5講義:セラピストに必要な“広い視点”を学びませんか? ―健康の社会的決定要因とICFの個人・環境因子の理解を深める―
講師:池田 登顕 先生
個人の健康は、居住地や居住地における政策、社会経済状況など様々な要因の影響を受ける。このような健康に寄与する医学的な要因以外のものを健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health; SDH)という。本講義では、SDHと我々理学療法士が慣れ親しんでいる国際生活機能分類(International Classification of Functioning, Disability and Health; ICF)の関係性を整理したうえで、我々理学療法士がSDHを考慮した支援をどのように展開すればいいのか0次予防から3次予防の概念について説明する。
<学習を通した到達目標>
・SDHとは何か?を他の療法士に説明することができる
・個人因子と環境因子がどの程度健康に影響を及ぼしているのかを理解できる
・SDHを考慮した支援について学べる
<講義内容>
・健康格差:健康は地域や国によって異なっているのか?
・健康の社会的決定要因:個人の健康は本当に自己責任なのか?健康の社会的決定要因とICF
・個人因子と健康:どのような個人の特性が健康に影響を及ぼすのか?
・環境因子と健康:どのような環境が健康に影響を及ぼすのか?新しい予防:0次予防から3次予防まで
第6講義:地域特性を活かした介護予防と地域づくり ~場・人・環境をつなぐ実践~
講師:森 優太 先生
地域ごとの特性や資源を活かしながら、効果的な介護予防と持続可能な地域づくりを実現するための実践的アプローチを解説する。住民主体の活動や多職種連携を通じて、「場」「人」「環境」を有機的につなぎ、フレイル予防や健康寿命の延伸にどのように寄与できるかを検討する。通いの場を活用した地域支援の実例を交えながら、理学療法士などの専門職が地域包括ケアの中で果たす役割についても紹介する。
<学習を通した到達目標>
・地域特性を活かした介護予防の基本的な考え方と実践例を理解する。
・「場」「人」「環境」をつなぐ地域づくりの具体的な方法を説明できる。
・理学療法士などの専門職が地域の中で担う役割を説明できる。
<講義内容>
・なぜ今、地域づくりが重要なのか
・要介護やフレイルになりにくい地域の特徴とは
・地域づくりとしての通いの場の推進
・リハビリテーション専門職が地域づくりを実践するための工夫
第7講義:通所リハビリテーションにおける集団介入の実践
講師:武田 広道 先生
本講義では、通所リハビリテーションにおける集団介入の特徴や有効性について、国内外の実践的研究やエビデンスを踏まえて概説する。特に、バディ・ピア支援(利用者同士の関係性を活用した支援)の意義や導入方法に焦点を当て、現場での工夫や課題を紹介する。また、集団介入の設計において重要となる視点や、参加者の関係性・自己効力感・活動継続への影響についても考察し、臨床における応用可能性を検討する。
<学習を通した到達目標>
・通所リハビリテーションにおける集団介入の意義と特徴を説明する。
・バディ・ピア支援の理論的背景と具体的な実践方法を理解する。
・利用者同士の関係性がもたらすポジティブな変化を説明。
・集団介入を企画・導入する上での工夫や留意点を理解できる。
<講義内容>
・なぜ通所リハビリテーションで集団介入が求められるのか?-個別支援を補完する視点としての価値-
・バディ・ピア支援における理論的枠組み
・バディ・ピア支援の活用とその効果―利用者同士の関係性が生む変化とは―
・集団介入の設計と導入の工夫―バディ・ピア支援をどう組み込むか?-
第8講義:通所リハビリテーションにおける身体・認知機能への個別アプローチ
講師:脇田 正徳 先生
本講義では、通所リハビリテーションにおける個別介入による心身機能および能力障害へのアプローチについて解説する。特に、フレイル、脳卒中による片麻痺歩行、転倒予防についてエビデンスとともに介入のコンセプトを説明する。また、認知機能へのアプローチとして身体運動の重要性についても取り上げる。最後に、通所リハビリテーションにおける今後の課題について共有する。
<学習を通した到達目標>
・通所リハビリテーションの役割について理解する。
・心身機能・能力への個別アプローチのコンセプトについて理解する。
・認知機能へのアプローチのコンセプトについて理解する。
・アウトカム評価の重要性について説明できる。
<講義内容>
・通所リハビリテーションの役割とは?
・心身機能、能力へのアプローチ
・認知機能へのアプローチ
・アウトカム評価の重要性と今後の課題
第9講義:地域在住高齢者の身体活動量マネジメント ~評価・目標設定・介入のポイント~
講師:清水 夏生 先生
本講義では高齢者の身体活動量マネジメントについて取り上げる。本講義では、高齢者医療・介護における身体活動の重要性について述べるとともに、身体活動量の測定方法・測定値の解釈のポイント・目標設定・介入のポイントについても解説する。本講義は身体活動量に関する良くある質問を基に、Q&A形式にて実践に必要な情報提供を行う。
<学習を通した到達目標>
・身体活動の定義と健康に及ぼす影響について説明することが出来る。
・身体活動量の指標と特性について説明することが出来る。
・身体活動量の評価方法と、種々の評価方法における限界を述べることが出来る。
・身体活動量の測定値の解釈と目標設定の要点を述べることが出来る。
・身体活動増加に資する方策のポイントを説明することが出来る。
<講義内容>
・身体活動量ってなに?高齢者の不活動に理学療法士は何が出来るの?
・身体活動量はどの様に測るの?
・身体活動量の測定結果の読み方と目標設定はどうするの?
・身体活動量を増やす手順は?
第10講義:活動・参加の支援につかえる行動変容理論・技法 ~基礎からその適用まで〜
講師:三浦 佳代 先生
本講義では,活動・参加とは何か,行動変容とは何かを概説し,行動変容介入の設計,実施,および評価について具体例を挙げながら説明する。
<学習を通した到達目標>
・活動・参加の実施を促したり,評価をする際の注意点について説明できる。
・行動変容理論・技法について説明できる。
・行動変容介入の立案について説明できる。
・行動変容介入を立案できる。
<講義内容>
・活動・参加ってなに?実施・評価で気をつけることは?
・行動変容ってなに?
・行動変容介入ってどうやって創るの?
・やる気がない方,なかなか行動しない方がいて困っています!-介入例の-紹介
講座リスト
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1.地域理学療法の現在地
開催終了 2025年09月01日 20:00-21:30 -
2.地域理学療法における環境の重要性
開催終了 2025年09月03日 20:00-21:30 -
3.地域理学療法における機能・活動・参加
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
4.地域理学療法の理解と要介護高齢者を対象とした自立支援のあり方 ~アウトカム評価の活用~
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
5.地域在住高齢者の意思決定を支える視点と実践 ~私らしさを尊重する自律支援~
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
6.地域理学療法の現在地から未来に向けたエビデンスのアップデート
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
7.在宅における緩和ケア・終末期リハビリテーションの実践 〜対象者の人生に寄り添う療法士の在り方〜
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
8.セラピストに必要な“広い視点”を学びませんか? ―健康の社会的決定要因とICFの個人・環境因子の理解を深める―
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
9.地域特性を活かした介護予防と地域づくり ~場・人・環境をつなぐ実践~
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
10.通所リハビリテーションにおける集団介入の実践
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
11.通所リハビリテーションにおける身体・認知機能への個別アプローチ
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
12.地域在住高齢者の身体活動量マネジメント ~評価・目標設定・介入のポイント~
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
13.活動・参加の支援につかえる行動変容理論・技法 ~基礎からその適用まで〜
開催予定 2025年09月08日 20:00-21:30 -
14.総括ディスカッション①
開催予定 2025年12月01日 20:00-21:30 -
15.総括ディスカッション②
開催予定 2025年12月02日 20:00-21:30
講師紹介
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石垣智也 先生
理学療法士
畿央大学 健康科学部 理学療法学科 -
尾川達也 先生
理学療法士
医療法人友紘会
西大和リハビリテーション病院
リハビリテーション部 主任 -
牧迫飛雄馬 先生
理学療法士
鹿児島大学 医学部 保健学科 教授 -
池田耕二 先生
理学療法士
奈良学園大学 保健医療学部 教授 -
古川博章 先生
理学療法士
訪問看護ステーションほっぷ -
池田登顕 先生
理学療法士
山形大学 医学部 医療政策学講座 准教授 -
森優太 先生
理学療法士
医療法人 松徳会 花の丘病院 リハビリテーション科,透析センター 理学療法士
医療法人 松徳会 松本クリニック 糖尿病内科
千葉大学大学院 医学薬学府先進予防医学共同専攻 -
武田広道 先生
理学療法士
北陸大学 医療保健学部 理学療法学科 -
脇田正徳 先生
理学療法士
関西医科大学 リハビリテーション学部 助教 -
清水夏生 先生
理学療法士
埼玉医科大学 保健医療学部理学療法学科 助教 -
三浦佳代 先生
理学療法士
埼玉医科大学保健医療学部理学療法学科 助教