先輩作業療法士が 伝える臨床実践ガイド 〜患者さんへのプログラムを作るための具体的な考え方を学ぶ〜

神経系疾患, 運動器疾患, 循環器疾患
  • 竹林崇 先生 / 森口咲紀 先生 / 庵本直矢 先生 / 堀翔平 先生 / 原健介 先生 / 木村愛 先生 / 梶本千愛 先生 / 金子隆生 先生 / 笹沼里味 先生 / 平山幸一郎 先生 / 早﨑涼太 先生 / 前田正憲 先生 / 須藤淳 先生 / 山下遊平 先生 / 田中寛之 先生
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    無料
プログラム

<講義内容>

作業療法の効果をより発揮するためには、事前情報の収集から始まり、適切な評価の選定と遂行、そして評価結果を解釈したうえで、眼前の対象者と意思決定を共有し、介入の選択を行う工程を経る必要がある。しかし、実際の臨床では対象者の多種多様な症状や重症度、種々の合併症などによって教科書通りの評価を画一的に遂行できないことが多い。そのため、評価の量的な側面のみならず、質的な解釈を行う必要があるほか、環境因子や個人因子といった文脈も踏まえて介入を組み立てる必要があるため、臨床思考過程は非常に複雑となる。このような介入を組み立てる以前の作業療法における臨床思考過程は、対象者の個別性が高いことを理由に経験則に頼らざるを得ない状況がある。しかし、個別性が高いといえども、日常生活動作や作業活動を評価する際には一定の観察眼が存在しているはずであり、その視点を持っていることで種々の疾患や症状から生じる多様な現象に対応する手がかりとなりうる。本研修では、様々な症状や現象に対応する際の先輩作業療法士のマインドセット(事象を捉える際の習慣的思考)に注目し、介入を提供する前段階の臨床思考過程を明示する。これにより、新人・若手療法士が個別性の高い対象者に対して、適切な作業療法を提供する一助となりうる。


<目的>

事例に対して、作業療法を提供するに至る前の先輩作業療法士の臨床思考過程を具体的に提示することにより、新人・若手療法士がより迅速かつ適切に対象者の環境やこれまでの生活・人生の文脈を踏まえたアセスメントと介入を提供する一助となる。


<講義ラインナップ>

【概論編】

第1講座:作業療法士の介入に至る以前の臨床思考過程

講師:竹林崇 先生


<学習内容>

作業療法に関わり20年以上が経った。20年以上働く中でも、初めての対象者の方の元に伺う際には、今でも緊張するものである。ただ、新人の頃と圧倒的に異なるのは、情報収集のコツを知っていること、予後予測の知識があること、そして、何よりも多くの対象者とご一緒し、教授いただいた経験があることである。元来、これらの経験は自らでトライアンドエラーをしながら獲得していくものであった。ただし、エラーをすることが自身の成長に繋がることはわかっているものの、そこに身を晒すのは、非常に胆力が必要なものでもある。今回、各領域で活躍する中堅療法士の方々に、実際に臨床に向かう際の上記の知識と彼らが培ってきた経験について、事例を通して、伝えていただく。 本章では、その各領域での作業療法士の介入に至る以前の臨床思考過程について解説する。


<到達目標>


皆様の経験値がより効率的に積み上がることを目的とする。


第2講座:目標設定の手順と解釈〜目標設定の方法と面接時の工夫点、介入に活かす視点について〜

講師:森口咲紀 先生


<学習内容>

目標設定の目的と意義

目標設定の手順と解釈(事例から考える)


<到達目標>

目標設定の目的と意義を理解する

目標設定の基本的な手順を知り、実践に活かすことができる

 

【脳卒中編】

第3講座:片麻痺後に亜脱臼と痙縮を伴い、軽度肩痛を生じた事例

講師:庵本直矢 先生


<学習内容>

①片麻痺後の肩の痛みの原因について

②肩の痛みの原因の探り方について

③症状と予後から肩の痛みを予防するアプローチを検討する


<到達目標>

片麻痺後の肩痛の要因と予防について理解する


第4講座:脳卒中後に中等度の上肢運動麻痺と前頭葉病変由来のセルフモニタリングに障害を呈した事例に対する麻痺手使用に向けたアプローチに至るまでの臨床思考について

講師:堀翔平 先生


<学習内容>

・学習性不使用からの脱却に向けたアプローチのメカニズムについて

・中等度の上肢運動麻痺とセルフモニタリングに不備のある事例に対して行った麻痺手使用に向けた具体的なアプローチの展開方法について


<到達目標>

・麻痺手の実生活における使用についての重要性を理解する

・麻痺手の機能改善と実生活の使用における変化の差異を理解する


第5講座:重度上肢麻痺に加えて、感覚障害も呈した事例

講師:原健介 先生


<学習内容>

①重度上肢麻痺患者に対する評価

②重度上肢麻痺患者の症状と現象の解釈

③重度上肢麻痺患者に対する上肢機能介入の実際


<到達目標> 

重度上肢麻痺患者に対する病態解釈に必要な評価ならびに介入内容を理解できる


第6講座:左半側空間無視が生じた事例

講師:木村愛 先生


<学習内容>

①介入前の情報収集(カルテや他職種、検査データ、脳画像)からの病態生理

②観察評価の視点

③実際の事例を通した左半側空間無視の捉え方


<到達目標>

左半側空間無視の介入に対する臨床の思考過程を理解する


第7講座:前頭葉機能低下事例(主に遂行機能)

講師:梶本千愛 先生


<学習内容>

①前頭葉機能低下事例に対する情報収集と作業療法評価の選び方

②評価結果の質的解釈と、介入方法の選び方

③前頭葉機能に応じた対象者への説明の仕方・関わり方


<到達目標>

事例報告を通して、前頭葉機能に応じた介入方法・対象者との関わり方を理解する


第8講座:プッシャー症候群を呈した事例を通して評価と治療を学ぶ 

講師:金子隆生 先生


<学習内容> 

プッシャー症候群は介助量の増大を招く症状であるが、適切に評価し治療を考えることは重要である。本講義では、これまで報告されているプッシャー症候群に関する病態や評価を中心に解説し、治療に関しても事例を通して一部紹介する。


<到達目標> 

プッシャー症候群の病態、評価、治療を理解できるようになる。


第9講座:片麻痺と高次脳機能障害に対する自動車運転再開支援

講師:笹沼里味 先生


<学習内容> 

①自動車運転再開支援の流れ

②総合的評価と介入の実際

③経過に合わせた介入の変更


<到達目標>

自動車運転再開支援の流れを知り、評価結果から運転再開までの介入を理解する


第10講座:重度脳卒中患者のトイレ動作・更衣動作リハビリテーション:評価と介入の実践ガイド

講師:平山幸一郎 先生


<学習内容>

重度脳卒中患者のトイレ動作・更衣動作リハビリテーションにおける、具体的な評価方法と動作分析を、事例を通じて提示し、思考過程を共有しながら最適な介入方法を考察する。

 

<到達目標>

重度の脳卒中患者におけるトイレ動作と更衣動作のリハビリテーションについて、難渋しやすい評価や動作分析、日常生活動作への移行のポイントを理解し、臨床での思考過程を共有しながらリハビリテーション介入や環境設定の工夫を実践に活かすことを目的とする


【整形編】

第11講座:橈骨遠位端骨折術後の事例

講師:早﨑涼太 先生


<学習内容>

①情報収集(画像所見を含む)とその解釈

②目標設定の方法

③機能訓練(自主訓練を含む)と ADL 指導


<到達目標>

橈骨遠位端骨折術後事例の作業療法に必要な情報を収集・解釈し,実践を行うことができる.


第12講座:認知機能低下を来した、大腿骨転子部骨折事例

講師:前田正憲 先生


<学習内容>

①大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドラインとリハビリテーション

②模擬事例を通した評価

③作業療法介入の1例


<到達目標>

認知症を来した大腿骨骨折事例に対する回復期リハビリテーションでの介入について疑似体験する


第13講座:術後から担当する頚椎症の事例

講師:須藤淳 先生


<学習内容>

学習内容―頚椎症の対象の方を担当した際のカルテの見方や、脳卒中とは違う疾患の評価項目をあげ、担当時にどこをみて、何を考えるのか、初回からの介入の組み立て方を学んでいく。


<到達目標>

カルテの見方(確認しておくべきカルテの項目がわかる、評価項目をしる、評価方法がわかるなど)


【心大血管編】

第14講座:重症心疾患患者に対する事例

講師:山下遊平 先生


<学習内容>

重症症例における安全な離床の実現と,それを支える多職種連携は重要である.本講義では,適切な医療チームの統合的な介入により,離床時の有害事象を最小限に抑えつつ,患者の身体機能を改善させることが可能であることを紹介する.また,長期入院に伴う精神機能の管理も必要であり,患者の希望や安全性を考慮したリハビリテーション計画の策定が重要なため事例を通じ一部を紹介する.


<到達目標>

重症心疾患患者におけるリスク管理について学び実践に活かす


【認知症編】

第15講座:リハビリ・生活介助を拒否される進行期(中等度・重度段階)認知症に対して工夫した事例 

講師:田中寛之 先生


<学習内容>

①進行期段階の認知症の人の特徴を知る

②残存能力の評価とADLへの応用

③介入者自身の接し方の重要性を理解する


<到達目標>

進行期(中等度・重度段階)認知症の人に対して日々のリハビリ、ADLにどのように取り組んでいただくか、その支援方法の一例を知ること

講座リスト

  • 作業療法士の介入に至る以前の臨床思考過程

    竹林崇 先生
  • 目標設定の手順と解釈〜目標設定の方法と面接時の工夫点、介入に活かす視点について〜

    森口咲紀 先生
  • 片麻痺後に亜脱臼と痙縮を伴い、軽度肩痛を生じた事例

    庵本直矢 先生
  • 脳卒中後に中等度の上肢運動麻痺と前頭葉病変由来のセルフモニタリングに障害を呈した事例に対する麻痺手使用に向けたアプローチに至るまでの臨床思考について

    堀翔平 先生
  • 重度上肢麻痺に加えて、感覚障害も呈した事例

    原健介 先生
  • 左半側空間無視が生じた事例

    木村愛 先生
  • 前頭葉機能低下事例(主に遂行機能)

    梶本千愛 先生
  • プッシャー症候群を呈した事例を通して評価と治療を学ぶ

    金子隆生 先生
  • 片麻痺と高次脳機能障害に対する自動車運転再開支援

    笹沼里味 先生
  • 重度脳卒中患者のトイレ動作・更衣動作リハビリテーション:評価と介入の実践ガイド

    平山幸一郎 先生
  • 橈骨遠位端骨折術後の事例

    早﨑涼太 先生
  • 認知機能低下を来した、大腿骨転子部骨折事例

    前田正憲 先生
  • 術後から担当する頚椎症の事例

    須藤淳 先生
  • 重症心疾患患者に対する事例

    山下遊平 先生
  • リハビリ・生活介助を拒否される進行期(中等度・重度段階)認知症に対して工夫した事例 

    田中寛之 先生

講師紹介

  • 竹林崇 先生

    作業療法士
    大阪公立大学 地域保健学域 総合リハビリテーション学類 作業療法学専攻 教授
  • 森口咲紀 先生

    作業療法士
    伊丹恒生脳神経外科病院
  • 庵本直矢 先生

    作業療法士
    名古屋市総合リハビリテーションセンター
  • 堀翔平 先生

    作業療法士
    医療法人渓仁会 
    札幌渓仁会リハビリテーション病院 
    リハビリテーション部 副主任
  • 原健介 先生

    作業療法士
    西大和リハビリテーション病院
  • 木村愛 先生

    作業療法士
    福岡みらい病院 リハビリテーション科
  • 梶本千愛 先生

    作業療法士
    伊丹恒生脳神経外科病院
    リハビリテーション部 副主任
  • 金子隆生 先生

    作業療法士
    山形県立中央病院 
    リハビリテーション室 主任
  • 笹沼里味 先生

    作業療法士
    伊丹恒生脳神経外科病院リハビリテーション部主任
    兵庫県作業療法士会自動車運転支援委員会委員長
    呼吸ケア指導士
  • 平山幸一郎 先生

    作業療法士
    岸和田リハビリテーション病院
    リハビリテーションセンター 主任
  • 早﨑涼太 先生

    作業療法士
    札幌医科大学 
    保健医療学部 作業療法学科 助手
    認定作業療法士
  • 前田正憲 先生

    作業療法士
    JA長野厚生連鹿教湯三才山リハビリテーションセンター鹿教湯病院 
    作業療法科 主任
  • 須藤淳 先生

    作業療法士
    横浜市立脳卒中神経脊椎センター 
    リハビリテーション部
  • 山下遊平 先生

    作業療法士
    群馬県立心臓血管センター 
    リハビリテーション課 主任
  • 田中寛之 先生

    作業療法士
    大阪公立大学
    リハビリテーション学研究科
    リハビリテーション学専攻 准教授
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