機能訓練主体から機能構築主体へ -後編-

機能訓練主体から機能構築主体へ -後編-
精神疾患, スポーツ
リハデミー編集部
2019.02.21
リハデミー編集部
2019.02.21

理学療法士業務の多様化の到来

時代は刻一刻と変化していいます、日本の社会は総人口の減少傾向にある中で、高齢者率は上昇、高齢者は平成25年には国民の4人に一人が20年後には3人に一人になると推定されている。高齢者の増加に伴って医療費も増加の傾向にあり皆保険制度下では医療費抑制政策を採らざるを得ず、医療分野は生き残りを賭けて高度な医療を効率よく提供出来るシステムと技術が課題になると考えられる。

急激な高齢者人口増加の中で医療費抑制が続くとなれば医療に少なからぬ影響を与えるでしょう、特にリハビリテーション分野に与える影響は大きく、なかでも理学療法士への影響は大きく、今後理学療法士業務は、治療を主体とする理学療法分野、マニアル化に伴う生活動作獲得分野、在宅運動機能障害者に対する訪問リハ分野、終末期医療ケア分野などにその職域が広がっていくことでしょう。

治療を主体とする理学療法分野では

身体運動機能障害に対して機能改善の要求は団塊世代の参加で今後ますます大きくなると考えられます。リハビリテーションにおける理学療法理念に基づく訓練では対応は困難であり新たな治療概念に基づく理学療法が要求されると考えます。プロとしての知識と技術が求められるようになるでしょう。

マニアル化に伴う生活動作獲得分野では

今後10年の人口動態を考えればリハビリテーション分野の患者は増加の一途を辿るだろう、かかる現象はリハビリテーション部門に評価、ゴール設定、居所復帰システムをマニアル化することが要求されてくることと推定される、理学療法士の業務も当然の事としてマニアルに従って一定の期間に生活動作の遂行可能状態を獲得させなければならずこの分野でも高度の知識と技術が要求される。

在宅運動機能障害者に対する訪問リハ分野でも

在宅運動機能障害者に対する訪問リハ分野における理学療法士の需要も今後ますます大きくなるだろう事は明らかであるがこの分野でも理学療法士に治療効果を期待する人々は治療の結果を求めてくるだろう、理学療法士に対して高度の知識と技術が要求されるでしょう。

更に終末期医療ケア分野に於いても

理学療法士業務は拡大していくと推定される、終末期医療は治す医療ではなく生活を支える医療であるといわれている、生活の質を高め維持するには身体機能を訓練するのではなく身体機能システム再構築の知識と技術が要求される。理学療法士に対す要求は多様化すると共に需要は拡大していくが、それぞれに分野での高度の知識と技術が要求されるようになるだろう。いずれにせよ、全ての分野で理学療法士の知識と技術が要求されることでしょう。

1966年理学療法士がリハビリテーション医療に参加して50年という年月の間に理学療法は円熟という形でマンネリ化して来ているに対して社会は急速に変化してきた我々の業務は人体の運動機能という未知なる分野を対象とする故、創造的な仕事であり理学療法士が己の人生を賭ける価値がある仕事だと私は考えています。

時代は理学療法に進化を求めています

今日の一人ひとりのブラッシュアップが

明日の理学療法を創るのです

明日のことは誰にも分かりません。しかし人間は明日をどう生きるか決めることが出来ます。自分自身の明日のために、理学療法士の明日のため今日行動を起こさなければ明日も何も変わらないのです。一人一人の理学療法士が理学療法をどのように進化させたいのか、志を立てて「今」行動しなければ、今後も理学療法は今のままですし、理学療法士も今のままです。100年前アレキシス・カレルが人間未知なるものと喝破した言葉は今尚真実で、我々は常に未知なるものへの挑戦を繰り返しているのです、前途が未知なるが故、我々には多くの未来があると信じています。

理学療法士の業務

「理学療法士は身体的な障害を持つ人に対して医師の指示の下その基本的な能力回復を図ることを目的に、治療体操その他の運動を行なわせ、及び電気刺激、温熱、寒冷光線、水、マッサージなどの物理的手段を加える者で理学療法士の名称を用いて医師の指示の下に理学療法を行う者をいう」と理学療法士の業務は昭和40年6月29日法律137号(理学療法士・作業療法士法第2条)により規定されています。

 

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