【アーカイブ】小脳障害の科学的根拠に基づいた病態理解と理学療法
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松木明好 先生 / 菊地豊 先生 / 板東杏太 先生 / 近藤夕騎 先生
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プレミアム会員3,000円 (税込)無料
【講習会概要】
小脳は神経科学の中でも基本的な神経回路から作動原理まで明らかにされている数少ない脳領域の一つです。歴史的には1960年代に基本的な神経回路が明らかにされ、1970年初頭にMarrとAlbusがシナプス可塑性を予測し、1982年に伊藤正男らが長期抑圧(LTD)の生理学的証拠を突き止め、小脳が学習器官であることが示されました(Marr-Albus-Itoの小脳学習説)。
一方、小脳が障害されることで様々な協調運動障害が生じることは19世紀初頭に発見され、2世紀経った今なおその全容は明らかにされてはおらず、基礎の知見と臨床の乖離は依然として大きい状況です。この様な中で小脳障害に対する効果的な理学療法を展開していくためには、小脳の科学的知見の到達領域と限界点の適切な理解が求められます。
本セミナーは、小脳障害の病態に基づいた理学療法の考案に資する科学的知見の紹介と、小脳障害に対する現在の理学療法についてガイドラインや具体的な介入について紹介ししていきます。
【講習会目標】
本講習会は、小脳障害について科学的知見に基づいた病態解釈と理学療法の実践を目指すものです。小脳は基礎科学的知見が豊富にある一方、初学者には難解な内容が多いことが理解を妨げている分野でもあります。そこで本講習会では、第1章にて基礎科学的知見を紹介し、第2章で臨床症状を概説した後の第3章にて基礎科学的知見から臨床症状の理解へと進み、第4章にて小脳障害に対する理学療法の評価と介入について理解を深めていく構成としました。2021年に実施した「小脳障害の科学的根拠に基づいた病態理解と理学療法」の内容を受講者から頂いた質問を元にブラッシュアップしています。特に質問が多かった内部モデルについての説明を充足させた他、新たに脳血管障害による小脳障害の病態理解、Keyformによる臨床指標の解釈について加えた充実の内容となっています。本講習会が科学的根拠に根ざした小脳障害に対する理学療法の一助となることを願っています。
【講座内容】
■第1講座
小脳の基礎科学的知見の理解
講師: 松木明好先生
<学習内容>
①小脳を理解する意義
②小脳の解剖
③運動制御に関する内部モデル仮説
④感覚運動機能と小脳関連神経回路
<学習目標>
療法士が小脳について理解する意義を知る。
小脳の基本的な機能解剖と運動制御における役割を簡単に説明できるようになる。
■第2講座
小脳障害の臨床症状の理解
講師:菊地豊先生
<学習内容>
①小脳障害の理解に必要な機能区分と局在
②小脳の機能不全を引き起こす病態と疾患
③小脳障害による神経症候と鑑別
<学習目標>
小脳の機能区分・局在と神経症候の関係が理解できる。
小脳障害の神経症候と他の運動失調との鑑別が理解できる。
■第3講座
小脳内部モデル仮説に基づいた小脳障害の理解
講師:板東杏太先生
<学習内容>
①小脳モデルからみた小脳障害
②小脳内部モデル仮説による小脳障害の評価
③小脳内部モデル障害としてみた小脳機能障害の解釈
④学習障害としてみた小脳機能障害の解釈の課題と展望
<学習目標>
小脳内部モデル仮説の観点から小脳障害を理解できる。
小脳内部モデル仮説に基づいた小脳障害の評価方法について理解できる。
■第4講座
小脳障害に対する理学療法評価と介入の理解
講師:近藤夕騎先生
<学習内容>
①小脳障害の臨床評価指標と解釈
②小脳障害に対する理学療法
③小脳障害に対するリハビリテーションのエビデンスレビュー
④小脳障害に対する理学療法の課題と展望
<学習目標>
小脳障害の臨床評価指標の解釈を説明できる。
小脳障害の伝統的理学療法の課題を理解できる。
小脳障害における疫学的エビデンスを理解できる。
講座リスト
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小脳の基礎科学的知見の理解
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小脳障害の臨床症状の理解
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小脳内部モデル仮説に基づいた小脳障害の理解
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小脳障害に対する理学療法評価と介入の理解