Brain Machine Interfaceを臨床でどのように運用すれば良いのでしょうか?
<このコラムで学べること>
・Brain Machine Interfaceの臨床運用の仕方
・より効果的な臨床上の使用方法について
1. 臨床における効果的なBrain Machine Interface(BMI)の運用方法
Brain Machine Interface (BMI) とは、脳と外部の機械装置を接続する技術で、脳の活動を直接測定し、それをコンピュータや機械装置に伝達して制御する仕組みです(参照:Brain Machine (Computer) Interfaceとは? URL: ⚫︎⚫︎⚫︎⚫⚫︎⚫︎⚫︎⚫︎⚫⚫︎)。
BMIは、脳と機械の間にインターフェースを構築することで、人間の意図を信号として読み取り、それを外部デバイスに反映させることが可能になります。
脳卒中後の上肢リハビリテーションにおけるBMIの効果的な使用には、いくつかの重要なポイントがあるような気がしています。過去の先行研究から、以下の方法を参考にすることでBMIの使用を最適化することが考えられます。
①BMIと他のリハビリ手法の併用
BMI単独での使用ではなく、従来のリハビリテーション手法(例:従来のリハビリテーション、ロボティックリハビリテーション、機能的電気刺激療法等)との併用が効果的です。複数の手法を組み合わせることで、異なる神経回路への刺激が可能となり、機能回復の促進が期待されます。
さて、他のリハビリテーションとの併用効果については、Kruseらのメタアナリシスとシステマティックレビューが参考になりそうです。BMIは運動イメージやミラーセラピー等と特徴が酷似しています。したがって、その2つのアプローチと同様に、BMIも他のリハビリテーションアプローチの効果を修飾(底上げ)してくれるという特徴が期待できます。
Kruseら[1]は、合計14件の研究(虚血性および出血性脳卒中後の患者362人(皮質、皮質下、女性121人;平均年齢53.0±5.8歳;脳卒中発症からの平均期間15.7±18.2ヶ月)を対象とし、従来のアプローチにBMIを併用した群と従来のアプローチ単体の効果について、比較検討を行っています。この研究の結果としては、BMIを用いたアプローチを従来のリハビリテーションアプローチに追加することで、脳卒中後の患者の上肢の運動機能および脳機能の回復が促進される可能性があるという証拠が示されました。
②効果的なBMIの使用方法について
臨床において、BMIを使用する際に、より効率的な運用を心がける必要があります。したがって、効果が高いであろう対象者の方や、効果が高いであろう機器の選別、使用方法について知識を持っておくことが必要です。そこで、Loらの研究が参考になるかもしれません。
この研究では、46件の研究、計617人の脳卒中患者さんのデータを分析されています。分析の結果、BMIベースのリハビリテーションは、FMA-UEスコア(上肢運動機能評価尺度)において平均5.23ポイントの改善をもたらすことが示されました。この改善は対照群と比べ、統計的に有意でしたが、臨床的に意味のある最小限の差(MCID)である5.25ポイントをわずかに下回っていました。
加えて、この研究では、個別データの分析を行っています。個別患者データ(IPD)分析では、重度の麻痺を持つ患者さんや50歳以上の患者さんでは、MCIDを超える改善が見られる可能性が低いことが示唆されました。しかし、多変量解析では統計的有意差は確認されておらず、明確な回復の阻害因子とは言えないレベルであると解釈できます。
また、サブ解析の内容も非常に興味深い結果があります。サブ解析は以下の4つの違いについて、検討されています。
BCI使用期間: 4週間以下の使用と4週間を超える使用を比較した結果、4週間を超える使用の方がFMA-UEスコアの改善度が高い傾向が見られましたが、統計的有意差はありませんでした。
エフェクターの種類: 電動装具とFESを比較した結果、FESの方がFMA-UEスコアの改善度が高い傾向が見られましたが、統計的有意差はありませんでした。
BCIタスク: 運動イメージと運動試行を比較した結果、運動試行を用いたBCIシステムの方がFMA-UEスコアの改善度が高い傾向が見られ、統計的有意差が認められました。
手首/指の伸展の程度: 運動制限がない、または最小限の患者群と、中等度/詳細不明の患者群を比較した結果、有意な差は認められませんでした。
これらの結果は表1に表を示します。これらの要因をBMIを用いたリハビリテーションを行う際には、留意しつつ、より効果的なアプローチを意識したいところですね。
参照文献
1. Kruse, Antje, et al. "Effect of brain-computer interface training based on non-invasive electroencephalography using motor imagery on functional recovery after stroke-a systematic review and meta-analysis." BMC neurology 20 (2020): 1-14.
2. Lo, YT, et al. "Neural interface-based motor neuroprosthesis in post-stroke upper limb neurorehabilitation: An individual patient data meta-analysis." Archives of Physical Medicine and Rehabilitation (2024).
Brain Machine (Compu...