リハキャリ2024 講義の感想と解説(6)

竹林崇先生のコラム
神経系疾患
リハデミー編集部
2025.07.11
リハデミー編集部
2025.07.11

 さて、前回はDay3 講義1 岸和田リハビリテーション病院の平山先生による「知っておきたい回復期における脳卒中リハのエビデンス」、講義2 福岡みらい病院の木村先生による「回復期リハ病棟におけるADL・IADL獲得に向けた実践アプローチ」について感想を述べさせていただきましたッ!


 Day2までに比べ、Day3では一気に実践的な内容になってきましたね…

明日からの臨床にすぐに活きる、そんな印象でしたッ!

 さて、本日はDay3 講義3西大和リハビリテーション病院の原先生の「回復期リハ病棟における上肢機能アプローチ」と、講義4 伊丹恒生脳神経外科病院の梶本先生の「前頭葉機能のみかた」のご紹介になります。

それでは行ってみまっしょうッ!!

「回復期リハ病棟における上肢機能アプローチ」

西大和リハビリテーション病院 原健介先生


 こちらの講義では、回復期リハ病棟での上肢の病態解釈に必要な知識や評価、予後予測から作業療法介入への流れ、エビデンスも含めた具体的介入の実際、についてお話をいただきました。

 講義の中でまず重要視されていたことは「カルテの情報をすべて把握し、使い尽くす」と言うことでした。特に現病歴、既往歴、生活背景から、患者さんの障がいが今回の疾患で出現したものなのか、それとも元の生活の中で構築されてきたものなのかをできるだけ、分別して考えることの重要性が述べられていました。これは伺っていて、本当に重要だと感じました(中の人は、経験年数ももうすぐ20年が見えてくるぐらいなのですが、この視点に気づくのに、10年ぐらいかかってしまいました。お恥ずかしい…)。

 また、病態を考える上で、今回の脳卒中で生じた中枢性のもの、以前からあった末梢性の廃用症候群、さらには脳卒中発症後の二次的な不使用により生じた廃用症候群に可能な限り分け、それぞれに対する介入方法を思案することの重要性を述べられていました(この辺りは具体的な事例を示して、どのように考え、実施したかについて述べてくださっています。本当に、本当に参考になるので聴いてほしいです。是非、上下のリンクより #リハキャリ2024 に登録し、ご視聴くださいませ)

 次に、一般的にどのような評価が上肢機能を測定するために使われているかについて紹介がありました。この点についても一般的な評価を使用していないと、仮に論文等で勉強したところで同様な数値の比較ができなければ、知識が使えない、だからこそ、評価から再考する必要性を述べられていました。さらには、評価結果の解釈から、一般的な予後予測法の紹介と使用、さらには作業療法介入におけるプログラム立案について、具体的な事例を通して紹介くださっています。

 お話全般を通して、具体的な思考法に関する示唆や、具体的にどのような手法を患者さんの病態に合わせ、どのように調整するのかなど、とても参考になる点が多くあった印象でした。多くの方に是非聴いてもらいたい講義でした。

「前頭葉機能のみかた」

伊丹恒生脳神経外科病院の梶本千愛先生

 こちらの講義では、前頭葉機能とは、前頭葉機能評価における質的解釈、介入方法の選び方、患者さんへの関わり方について、お話を頂きました。まず最初に、前頭葉機能障害の症候学について、簡単に触れられた後、前頭葉の解剖学的初見、前頭葉機能に関わる神経学的ネットワーク、に関して解説をいただきました。こちらについて、神経ネットワークの繋がりについて、前頭葉、視床を中心に様々な線維をわかりやすく解説いただいています。特に、経験年数の低い療法士の方には是非聴いていただきたいお話です(是非、上下のリンクより #リハキャリ2024 に登録し、講義をご視聴くださいませ)。
 次に、解剖、ネットワークの解説に続き、脳血管障害によって前頭葉機能の低下が生じた際の昇降について、注意機能障害、遂行機能障害、セルフアウェアネスの低下等の病態をあげられた後、特にセルフアフェアネスにいついて、深掘りがなされていきます。
 患者さんが動作を自立できない要因の一つとして、セルフアウェアネスの障害が要因としてあげられていることに触れられ、その障害がどういったものなのかを詳細に解説いただいてます。また、それらを適切に捉えるための評価についての解説の後程、それぞれの解釈についても示されていました。特に、この解釈については、実際の事例における点数の例を挙げられ、その数値の解釈をどのように行なっていくか、さらにその結果に従いどういった介入方法を選択していくかについて、上肢機能障害、半側空間無視を例に挙げられ、臨床で実際にされている思考法と合わせて解説をいただいています。
 特に、前頭葉機能を含む高次脳機能障害については、知識と臨床像を結びつけるのがとても難しいです。それらの問題を、事例を通し、その際にどのように考え、行動したのかを合わせて伺うことで、とても理解が深まる講義だったと感じました。
--------------------------------------------------
 さて、今回は講義3西大和リハビリテーション病院の原先生の「回復期リハ病棟における上肢機能アプローチ」と、講義4 伊丹恒生脳神経外科病院の梶本先生の「前頭葉機能のみかた」について感想を述べさせていただきました。非常に実践的な講義で本当に多くの皆さんに聴いていただきたいと感じています。もし、ご興味がありましたら、下記のリンクよりご登録のうえ、講義を拝聴いただけますと嬉しいです。次回は、Day3 講座5 四條畷大学の花田先生による『道具使用障害の理解と対応』、さらに株式会社デジリハの大松先生による『半側空間無視の実践的な知識の整理』について感想を述べます。楽しみにしていてくださいね。
前の記事

リハキャリ2024 講義...

次の記事

Constraint-induced m...

Top