実行バイアス
実行バイアス
◇確認すべきポイント:
・対象(被験)者と介入(治療)者のマスク化(盲検化・ブラインド)がなされているか
・マスク化されていない場合は、それが結果に及ぼす影響を評価する
実行バイアスとは?
選択バイアスでは、対象者を割り付ける際に起こりうるバイアスについて説明しました。今回説明する実行バイアスは、研究を行う際に、対象者が介入群と対照群のどちらに割り付けられているかを
・「対象者」
・「介入者」
が知られないようにしているか、がポイントになります。
介入者と対象者がどちらの群に割り付けられているかわからないようにする方法を、マスク化(盲検化・ブラインド)と呼びます。マスク化がされていない場合は、それがアウトカムにどの程度の影響を与えるかを考える必要があります。以下の研究を参考に考えてみましょう。
研究例
・対象:健常高齢者80名
・介入群(40名):大腿四頭筋への電気刺激療法(100mA、30分間、週5回)
通常理学療法の併用治療
・対照群(40名):通常理学療法単独
・アウトカム:大腿四頭筋筋力(N・kg)
例1)介入者が割り付けを知っている場合
介入者が割り付けを知ってしまった場合、介入群に効果が出やすいように介入内容を変更してしまう可能性があります。研究例では、理学療法士が介入群に対し、アウトカムにより効果的な治療を多く実施する可能性があります。
他方、電気刺激療法では、刺激の強度が明確に定められており、マスク化をしなくても対象者や介入者の意図が入りこまないため、アウトカムへの影響は少ないと考える場合もあります。
例2)対象者が割り付けを知っている場合
対象者が割り付けを知ってしまった場合、他の治療を受けたり、本来行うべき治療を行わないことが考えられます。研究例では、電極を貼ったとしても電気のピリピリした感覚がない場合、治療が行われていないことを知ってしまう可能性があります。そのため、みせかけの刺激(偽刺激)や低頻度、低刺激の電気刺激を行うこと、治療の目的と異なる部位への電気刺激を行うことなどの対応が必要となります。
このように、バイアスリスクとなりうるポイントと、それがアウトカムに影響するかを確認します。