その他のバイアス
その他のバイアス
◇確認すべきポイント:
・選択的アウトカム報告:計画されたアウトカムが全て報告されているか
・早期試験中止バイアス:中間解析の計画がないにも関わらず、計画されたサンプルサイズを満たす前に試験が中止されているか
選択的アウトカム報告とは?
測定されたアウトカムのうち、アウトカムの一部しか報告されていない場合、効果が大きく、研究者の仮説を支持する良い結果だけが報告されている可能性があります。
評価するためには、研究のプロトコル(研究計画書)を参照し、計画段階のアウトカムが全て報告されているか評価します。研究例を見ながら、評価のポイントを解説します。
研究例
・対象:脳卒中患者80名
・介入群(40名):トレッドミル歩行練習
・対照群(40名):通常理学療法
・アウトカム: 患者の練習に関する満足度
例)アウトカムへの影響が大きい場合
・プライマリーアウトカムが、研究のプロトコルと論文で異なる
・研究のプロトコルが手に入れられない場合、不明(-1)となりますが、例のように、脳卒中患者に歩行練習を行った場合に、歩行に関するアウトカムを評価しておらず、明らかに重要なアウトカムを報告していないと判断できる場合は、高いバイアスリスク(-2)と評価します。
早期試験中止バイアスとは?
このバイアスも、研究のプロトコルを参照する必要があります。研究プロトコルでは、対象者の人数を、サンプルサイズを用いて決定してから、研究を開始します。中間解析が計画されていないにも関わらず、予め設定したサンプルサイズを満たす前に試験を中止している場合、効果が過大評価されたり、研究者の都合が良い解析がなされている可能性があります。
評価のポイントは、以下の通りです。
・予め多段階の試験が計画されているか
・サンプルサイズを満たしているか
その他、システマティックレビュー、メタアナリシスを評価する場合、研究の報告や出版の問題により、得られる研究結果(文献)に偏りが生じてしまいます。この偏りをPublication Bias(出版バイアス、公表バイアス)と呼び、研究者に都合の良い結果が得られなかった場合は論文の投稿がされないといったバイアスを考慮しなければなりません。