Canadian best practiceが示すガイドラインにおける『回復期リハビリテーション病棟』に関するエビデンスについて(4)〜回復期リハビリテーションにおけるチームを構成する職種のあり方につ

竹林崇先生のコラム
神経系疾患
リハデミー編集部
2023.06.12
リハデミー編集部
2023.06.12

<抄録>

 脳卒中を罹患し、急性期病院に搬送された対象者は、救命処置が一段落するとリハビリテーション病棟に転院する。リハビリテーション病棟は、日本独自の皆保険下のシステムであり、世界でも希少なリハビリテーションを専門に実施する病院である。このシステムに関するエビデンスがCanadian best practiceが示すガイドラインにおいて示されている。本コラムにおいては、数回において、回復期リハビリテーション病棟のあり方や、その影響力について解説を行う。第4回は回復期リハビリテーション病棟において、関わる職種の種別やその役割について、解説を行っていく.

1.回復期リハビリテーション病棟を構成するスタッフの職種や役割について

 Canadian best practiceが示すガイドラインにおいて、良好な回復期リハビリテーション病棟を構成するスタッフとして、医師(リハビリテーション医師、神経内科医、脳卒中リハビリテーションに関する専門のトレーニングを受けた他科の医師等)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、ソーシャルワーカー、臨床栄養士からなる脳卒中リハビリテーションの専門家が配属されていること(エビデンスレベルA),が挙げられている.さらに,それ以外の追加職種としては、薬剤師、転院・退院プランナー、神経心理学者、緩和ケアの専門家、レクレーション専門家、職業支援に関わる専門家、運動指導し、療法士助手、スピリチュアルケアを提供できる職種、脳卒中の経験者(ピアサポーター)、脳卒中回復リエゾンチームがあれば、なお良いケアが提供できる可能性がある(エビデンスレベルC)、とされている.

 つまり、適切なリハビリテーションを提供するためには、それらを提供できるスペシャリストである各職種が適切に配置されていることが非常に重要な要件となることが解る.実際、同ガイドラインにおいても、「チーム医療を構成するスタッフのセクションにおいては、脳卒中リハビリテーションは、一貫性を確保し、合併症のリスクを軽減するために脳卒中後のケアに十分な経験がある医療専門家からなされるチームによって提供されるべきである(エビデンスレベルB)」とされている.さらに、チームで介入することを基本として、「入院後48時間以内に患者をチーム全体で評価・統合を行い、重症度を把握した上で、対象者や家族の目標、利用可能な最善のエビデンス、医療従事者の経験等を対象者および家族と共有した上で、リハビリテーションに関する計画を立てる必要がある(エビデンスレベルC)」とされている.

 ガイドラインでは、かなり初期からチームでかつエビデンスを基盤とした実践を行うことを求めている.さらに、この手続きは初期に実施するだけでなく「回復期リハビリテーション病棟において関わるチームにおいて、週1回以上のカンファレンスを実施し、現状の把握と新たな問題点の提起を行い、目標を初めとしたリハビリテーション計画書を随時更新することが必要(エビデンスレベルB)」と述べている。

 その他にも、脳卒中リハビリテーションに関わるチームは、国際生活分類(Internatinal classification of functioning, disability, and health: ICF)に則り、脳卒中がもたらす医学的問題、機能的問題、活動的問題、役割や社会参加に関わる問題をそれぞれ評価する必要がある.そこで、同ガイドラインでは、「脳卒中リハビリテーションに関わるチームにおいては、標準化された有用な評価ツールを使用することを検討する必要がある(エビデンスレベルC)」と記載されている.また、同様に「環境や個人因子といった個人的要因も回復期リハビリテーション病棟におけるチームアプローチの中で考慮する必要がある(エビデンスレベルC)」とも述べられている.

まとめ

 第4回は回復期リハビリテーションにおけるチームを構成する職種のあり方について解説を行った。基本的に上記に示した医学的、学際的な専門職種がチームを組み、脳卒中リハビリテーションに従事することが重要であることが示唆された。しかしながら、それだけではなく、より早期からの介入、提起的なフォローおよび計画の修正、さらには、情報の正確性を担保するためのアウトカムの選定等、チームアプローチを正しく、適切に運営するために必要な事象がCanada best practiceが発行しているガイドラインにおいては示されていた.これらの知識を利用し、チームアプローチを再考し、過不足がないかの確認が必要であると思われた。全4回に渡り、回復期リハビリテーション病棟に関するエビデンスについて解説を行った.これらの知識が読者の臨床の確認に役立つことがあれば幸いである.

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