リハキャリ2024 講義の感想と解説(10)

竹林崇先生のコラム
その他
リハデミー編集部
2025.07.11
リハデミー編集部
2025.07.11

 さて、前回まではDay3の内容について、お示ししました。回復期リハビリテーション病棟における必要な脳卒中リハビリテーションの基本がよく理解できたかと思います。

 本日からは #リハキャリ2024最終日の感想を述べていきたいと思います。今回は、Day 4 講座1 医療法人相生会 新吉塚病院の劉濤先生の「回復期リハ病棟にて整形疾患を診る上で知っておきたいアプローチのエビデンス」と関西医科大学病院の蓬莱谷耕士先生の「整形外科疾患におけるセラピストに必要な画像のみかた」の感想を述べさせていただきます。それでは、行ってみましょう!!

「回復期リハ病棟にて整形疾患を診る上で知っておきたいアプローチのエビデンス」

新吉塚病院 劉濤先生


 この講義では、心身の回復、自宅・社会復帰、QOLに焦点を当て、整形外科疾患を対象としたアプローチ方法の概要を共有し、作業療法の観点から回復期リハビリテーション病棟でのEvidence based practice(EBP)の実践を支援する整形疾患におけるリハビリテーションアプローチのエビデンスについて講義がなされました。

 さて、以前ならば、回復期リハビリテーション病棟=脳血管疾患、といったイメージがあったかもしれませんが、近年では年々整形外科疾患を有する患者さんの割合が増加しているとのことでした。特に大腿骨頸部骨折等の転倒後の受傷等が目立つため、リハビリテーションにおいては、機能回復とともに住環境や生活空間に対する環境調整等の取り組みも重要だそうです。

 さて、エビデンスですが、国内外の各種ガイドラインについて、説明をくださっています。こちらにおいては、大腿骨頸部骨折、変形性股関節症、椎体骨折等の疾患に対するエビデンスをガイドライン、そして、筋力増加訓練、バランス訓練、課題指向型アプローチ、行動変容、セルフマネジメント、痛み、環境調整、余暇・役割に対する介入、QOLといった内容に関する代表的なシステマティックレビューをご紹介いただいています。是非、この点は講義を直接ご覧になり、内容を確認してください(上下のリンクよりご登録後、#リハキャリ2024 の講義をご覧になることができます。是非ご覧くださいませ)。

 整形外科領域のリハビリテーション領域でも使用できるエビデンスが近年多く公表されていることに驚きました。リハビリテーションを進める上で、エビデンスが全てではないですが、全体の傾向として、しっかり理解した上で、介入に活かすことが重要であると感じました。

「整形外科疾患におけるセラピストに必要な画像のみかた」

関西医科大学病院 蓬莱谷耕士先生

 こちらの講義ですが、リハビリ関連で、脳画像の見方系の講義って結構多い印象があるのですが、整形外科疾患に関わる画像の見方って、珍しいですよね。さらに、蓬莱谷先生の講義は網羅的かつ、非常にわかりやすく、30分の間でもとても有意義な知識をいただくことができました。是非、多くの方にご視聴いただきたいと思っています。
 さて、講義の内容ですが、単純X線、CT、MRI、運動器エコーについて解説をいただいています。また、画像所見利用の目的について、医師と療法士それぞれの目的について解説をいただいています。この辺りは、職権にも関わる部分ですので、倫理的な観点からも十分理解しておきたいところです。
 さらに、画像を見る際に、骨、関節、軟部組織、そして神経に関して、どういった種別の画像を利用するのか、さらにどのような注意点があるのか、についてもそれぞれについて解説がなされました。こういった「何に焦点を当てるか」がわかっていると、画像を読影する際に、視点が定まることで、読影のスキルが成長するスピードが早くなるのだろうなと、お話を伺っていて感じました。
 ここから手の外科疾患に関わる、X線画像の詳細の見方とそこからわかるリスク管理と予後予測について、詳細なお話をいただきました。特に、リスク管理に関するお話は療法士が、日々臨床において、患者さんにリハビリテーションを提供する上で非常に重要だと感じました。医師と密接にコミュニケーションをとることは言うまでもなく重要ですが、回復期リハビリテーション病院では、整形外科の専門医が常駐していないこともしばしばあります。
 もちろんリハビリテーション科医師と密接にコミュニケーションをとっていくわけですが、その上で療法士自身もしっかりとしたリスク管理ができることが、回復期リハビリテーション病棟において、求められる重要なスキルだと感じました。
 また、その後は、脊髄・脊椎疾患に対するMRIの見方、運動器疾患に対する運動器エコーについて、解説をいただいています。短時間で非常に多くの情報をわかりやすくまとめていただいています。特に、新人さん、若手の療法士さんには、聞いていただきたい内容だと感じました。
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 今回は、Day 4 講座1 医療法人相生会 新吉塚病院の劉濤先生の「回復期リハ病棟にて整形疾患を診る上で知っておきたいアプローチのエビデンス」と関西医科大学病院の蓬莱谷耕士先生の「整形外科疾患におけるセラピストに必要な画像のみかた」の感想を述べさせていただきます。整形外科疾患のリハビリテーションに関わる上で、扉となる知識だと感じました。是非、多くの方に聞いていただきたいです。
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