リハキャリ2024 講義の感想と解説(12)
さて、Day4の感想も後半に入っていきます!Day4 講義3 医療法人の『人工股関節全置換術(THA)における目標設定と実践的知識』と株式会社サンウェルズの原竜生先生の『TKA術後リハビリテーションで必要な知識と技術』について、感想を述べさせていただきました!
今回はDay4 講義5 メディカルベース小岩の笹川郁先生の「肩関節疾患のリハビリテーションで必要な技術・知識」と講義6 北海道文教大学の金子翔拓先生の「脊椎圧迫骨折後のリハビリテーションに必要な知識・技術」について感想を述べていきたいと思います。それでは、よろしくお願いします!
「肩関節疾患のリハビリテーションで必要な技術・知識」
メディカルベース小岩 笹川郁先生
肩疾患は作業療法士であれば、必ず対象になる障がいの一つだと感じます。肩の痛みは整形外科疾患だけではなく、脳血管疾患においても遭遇することが多いですし、知識と技術に対するしっかりとした理解が必要だと感じます。
こちらの講義では、基本的な肩関節の診方、肩関節に関する術後のリハビリテーションについて、最終的に目標設定を含む介入の実践について述べられていました。さて、肩痛を診る際に、①関節機能不全による痛み、②炎症、③拘縮、④筋力低下の大きく4つのカテゴリに分け、その原因を考えることを笹川先生はお話しされていました。
まずは、①関節機能不全による痛みについて、インピンジメント、神経因性痛、に関するお話をいただきました。これらを診る際に大事な意識として「特定の方向で痛みや引っ掛かりがあること」と述べられていました。いや、本当そうですよね。具体的な例として、インピン地面との病態と神経因性疼痛について、外側胸筋神経、肩甲上神経、腋窩神経、下肩甲下神経について、お話をされていました。この点については、全作業療法士が理解しておいて良い内容だなと改めて講義を伺い感じました。
さらに炎症所見に関するチョックポイントの紹介の後、炎症があった際の対処的なアプローチの実際についても解説いただいています。リハビリテーションでは「何かしなければならない」といった意識が先行し、リスク管理が疎かになることが確かにあります。こういった視点をしっかり持ち「やらない判断」ができることは非常に重要だと感じました。
その後、拘縮と筋力低下についてもお話しいただいていますが、この短時間でフィジカルアセスメントとそこから導き出された問題に関する作業療法介入について、膨大な情報をいただいています。本当に、回復期の肩痛や肩関節に介入している療法士に絶対聴いていただきたいお話しだと感じました。これらを知っておくだけで、肩関節に対する対応が大きく変わると思いました。
「脊椎圧迫骨折後のリハビリテーションに必要な知識・技術」
北海道文教大学 金子翔拓先生
こちらの講義では、回復期リハビリテーション病院においても頻発している脊椎椎体圧迫骨折後のリハビリテーションについてお話をいただいています。脊椎椎体圧迫骨折は、脆弱性骨折の中で最も発生率が多いと言われており、主に転倒後に生じると考えられています。また、脊椎椎体骨折後のリハビリテーションにおいて、受傷後の安静期間やコルセット装着期間等、一定のコンサセンサスは得られておらず、医療者の経験に依存する部分が大きいと言われているそうです。
また、脊椎椎体圧迫骨折は、加齢とともに増加する疾患であり、特に80歳以上の女性においては、約半数の対象者に脊椎椎体骨折があったとすら言われているそうです。後発部位は胸腰椎移行部が多く、転倒等によって生じることが一般的で、特に骨密度が低下した閉経後の女性や、ステロイド薬等を服薬している患者さんで受傷する方が多いそうです。
さて、対応としては、多くの場合、コルセット等を使用し、保存的加療が行われますが、コルセットができるまでの期間ベッド上安静を強いられることが多く、廃用予防に対する適切な対応が求められるとのことでした。また、圧迫骨折を起こしている部位にテンションがかからないように、上半身と下半身を捩らないよう、同時に寝返りを打つなど、起居動作時のリスク管理が重要とのことでした。 コルセットが完成した後は、疼痛をなるべく誘発させずに、胸腰部の前屈・回旋の動きを最小限にしたADL練習を行なっていくということです。やはり、廃用予防、機能改善は非常に重要となりますが、その上で最優先すべき事項は骨の癒合であり、リスク管理と積極的介入といった相反する因子を適切なバランスで介入することが重要とのお話がありました。
最後に、臥位でも実施できるリスクの低い筋力トレーニングの具体的な方法をいくつか提示くださりました。回復期でも尻もち等によって引き起こされる脊椎椎体圧迫骨折ですが、こういった基礎知識をしっかり理解することで、患者さんのリハビリテーションを支援することができると感じました。
-------------------------------------------------
今回はDay4 講義5 メディカルベース小岩の笹川郁先生の「肩関節疾患のリハビリテーションで必要な技術・知識」と講義6 北海道文教大学の金子翔拓先生の「脊椎圧迫骨折後のリハビリテーションに必要な知識・技術」について感想を述べました。非常に臨床的で多くの療法士が知っておくべき基礎知識だったと感じます。