リハキャリ2024 講義の感想と解説(13)

竹林崇先生のコラム
その他
リハデミー編集部
2025.07.11
リハデミー編集部
2025.07.11

 さて、Day4の感想も最後、というか #リハキャリ2024の感想もこれが最後となりました。今まで全34講座の感想にお付き合いいただき、心から感謝申し上げます! 

 前回は、Day4 講義5 メディカルベース小岩の笹川郁先生の「肩関節疾患のリハビリテーションで必要な技術・知識」と講義6 北海道文教大学の金子翔拓先生の「脊椎圧迫骨折後のリハビリテーションに必要な知識・技術」について感想を述べました。


 今回は、Day4 講義7 札幌医科大学の早崎涼太先生による「橈骨遠位端骨折のリハビリテーションに必要な知識」と講義8 日本医療大学の清元憲太先生による「頚椎症のリハビリテーションに必要な知識・技術」について感想を述べさせていただきます。それでは、最後になりますが、何卒よろしくお願い申し上げますっ!!

「橈骨遠位端骨折のリハビリテーションに必要な知識」

札幌医科大学 早崎涼太先生

 こちらの講義では、橈骨遠位端骨折の病態・治療法、作業療法評価のポイント、術後の機能訓練・ADL指導のポイントについて、かなりわかりやすくお話をいただいています。まずは、橈骨遠位端骨折の疫学について解説くださっています。受傷の転機としては、転倒等による小さな事故による骨折は女性に多く、転落、交通事故等の大きな事故による男性に多いとのことでした。また、橈骨遠位端骨折後に大腿骨近位骨折が発生する確率は高く、骨折後のリハビリテーションに加え、転倒しない身体機能や環境調整に対して考慮する必要があるのも興味深いところです。
 その後、橈骨遠位端骨折の分類を解説いただいた後、局所解剖、手術の特徴について、詳細な説明をいただいています。その後、橈骨遠位端骨折に対する機能評価について、画像所見とフィジカルアセスメントを中心に、機能的な評価についてお話をいただいています。この点については、多くのX線画像を提示くださり、色々な所見をわかりやすくご講義いただいていますので、是非、若手を中心とした多くの先生方に実際の講義をご覧になっていただきたいと思います。
 その後、装具両方、ストレッチ、ROM練習の実際について、各関節、部位ごとにかなり詳細な解説をいただいています。また、課題を用いたアプローチのバリエーションについても触れていただいていて、練習場面の引き出しが増えるといった印象を受けました。評価から介入まで、明日からの臨床に活かせる非常にわかりやすい講義をいただきましました。橈骨遠位端骨折の方がいらっしゃる回復期リハビリテーション病院の、特に若手の先生方には是非ご覧いただきたい講義だと思います。

「頚椎症のリハビリテーションに必要な知識・技術」

日本医療大学 清元憲太先生

 こちらの講義では頚椎症の病態と術後の特徴、頚椎症のADL障害とアプローチ(特に、運動障害、知覚障害、しびれ・疼痛)、難治化した疼痛への対応について、わかりやすくお話をいただいています。頚椎症とは、頚部変形性脊椎症のことを指し、軟骨変性、骨棘形成、椎間板編成による関節症性変化等を指して、使われる名称です。臨床においても、頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症に分類され、対応することが多い疾患だと思います。その反面、セミナー等で、これらの症候を扱うものも少なく、私も含め、多くの療法士さんが悩む症候だなとも感じています。
 さて、講義の中では、頚椎症性脊髄症、頚椎症性神経根症、それぞれの症状について解説をいただいた後、それらに対する整形外科的治療に関して、お話をなされていました。特に手術治療についての話題は、回復期リハビリテーション病棟では、触れる機会も少ない話題でしたので、こういった手術の特徴から、リハビリテーションに活かせる知見があることは気づきでした。
 その後、頚椎症性脊髄症について、具体的な介入手段について、ご紹介をいただきました。特に頚椎における可動域制限に対する介入や、痛み、筋力低下に対する可動域等のリスク管理を行いながらの介入については、自分の臨床の中でもなかなか実施できていなかったなと反省するとともに、こういったアプローチを丁寧に行うことで、患者さんの機能改善を促し、望む目標の成就につながるのだろうなと認識を改めさせられるお話だったなと感じました。
 その後、上肢機能、手による道具の操作練習、難治性の疼痛に対する対応を通したADL、QOL向上に関する取り組みについて、かなり詳細に解説をいただいています。特に、従来の作業療法アプローチに加え、上肢機能アプローチについては、単関節HALを用いたロボットリハビリテーションも整形外科領域にて使用されている例を伺い、機能面に対するアプローチも脳血管疾患領域同様、テクノロジーを用いた介入が進化しているのだと実感しました。
 先ほども述べましたが、頚椎症に対するセミナーは非常に少ない印象があり、とても勉強になりました。特に、回復期リハビリテーション病棟では遭遇する機会が多い疾患ですので、是非多くの先生方に聴いていただきたいお話だと感じました。
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 今回は、Day4 講義7 札幌医科大学の早崎涼太先生による「橈骨遠位端骨折のリハビリテーションに必要な知識」と講義8 日本医療大学の清元憲太先生による「頚椎症のリハビリテーションに必要な知識・技術」について感想を述べさせていただきました。
これで、#リハキャリ2024の全ての講義の感想まとめを終了します。34本の感想にお付き合いくださり、本当にありがとうございました。今回はセミナーの題名にキャリアという冠をつけられていましたが、まさに『キャリアを充実させる考え方と知識・技術』を学べたセミナーだったと思います。本当に本当に、多くの方に聞いていただきたい価値あるセミナーだったと感じます。

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