エビデンスベースドプラクティスの思考で、リハビリテーションの臨床に関わろう

竹林崇先生のコラム
患者教育
リハデミー編集部
2024.04.01
リハデミー編集部
2024.04.01

<本コラムの目的>

1. エビデンスベースドプラクティスについて認知する

2. これを行うことで対象者にどのような利益があるかを理解する

1.エビデンスベースドプラクティスを取り上げる理由

 近年、リハビリテーション業界で耳にすることが多くなった『エビデンスベースドプラクティス(Evidence-based practice: EBP)ですが、なんとなく、『エビデンスに基づく医療?エビデンスを重要視するのかな?』と思っておられる方は多いのではないでしょうか?

 実際、養成校にて、これらを学習している学校はまだまだ一握りである印象です。そこで、今回のシリーズでは、EBPについて深掘りをしていこうと思います。この概念をしっかりと理解していると、エビデンスも療法士としての経験も双方軽視することはなくなると思います。

2.EBPとは?

 皆さんは、EBMという言葉の方が、聞いたことがあるかもしれません。EBMはエビデンスベースドメディシン(Evidence-based medicine: EBM)と言われ、日本語では『根拠に基づく医療』という言葉でよく使われています。EBMという概念はGuyattら[1]が1991年に提唱したことが最初になります。ただし、EBMは医学・医療という意味合いが強いため、より広い概念で、看護やリハビリテーションの実践も含むものとして、EBPという言葉が生まれました[2]。

 臨床において、新人さんや学生さんが、最初に頼るのは誰でしょうか?もしかすると身近な先輩かもしれません。ただし、現在の療法士の経験年数に関わる比率をみてみると先輩と言っても圧倒的に5年目以下の方々が多いと思います。

これは、経験年数が少ないから、頼りにならない?ということではありません。中には多くの論文を読み、たくさん知識を蓄え、臨床においても試行錯誤されている方もおられると思います。しかしながら、時というものは全ての人間に平等に降り注ぎます。つまり、同じ強度で研鑽を積んでいたならば、やはり、経験年数が多い先輩に部があると考えるのが、妥当かと思います。

 少し、論点がずれましたが、身近な先輩の経験を拝借するとしても、その経験値は少ないことが予測されます。そういった際に、過去の先人たちが積み上げた知識を頼ることになるのではないでしょうか?では、その先人たちが積み上げた知識に対して、どのようにアプローチがなされるでしょうか。Webで情報を収集する、研修会に参加する、治療ガイドラインを読む、論文を検索する、とその方法はさまざまだと思います。

 その上で必要なのが仮説を立てて検索することです。基本的に『今行っているアプローチよりもより適切で効果的であるか?』という問いに対して、情報を探していくと思います。その中でメリットだけでなく、デメリットも調べつつ、対象者の方に落とし込む作業が必要になります。ただし、調べた『エビデンス』のみで治療法の意思決定をしても良いものでしょうか?

 人によっては、その治療法のやり方に不安や不満を覚えるかもしれません。もしかしたら、自分でテレビなどを見て、やって欲しい治療法があるかもしれません。また、治療法によっては、過去にいくら効果的であると証明されていたとしても、特別な機器や環境が必要で自分の所属する施設内で、目の前の対象者の方には使用できないかもしれません。

 そういった際に、調べたエビデンスに加えて、『対象者の希望と行動』、『対象者の周囲を取り巻く環境』を考慮し、それでも解決しないものに関しては『過去の医療者の臨床経験(先輩等に聴いた経験等も含む)によって、解決に近づけていく手続きが必要だと言われています(図1)[3]。

 こういった複合的な視点から、目の前の対象者にとって、最良の治療法を探索していく、この手続こそがEBPであり、対象者の方にとっての標準的かつオーダーメイドの治療法の作成手順ということになります。



参照文献

1. Guyatt GH. Evidence-based medicine. ACP J Club. 1991;114:A-16. 

2. Straus SE, et al. Evidence-Based Medicine:How to Practice and Teach EBM. 5th ed. Elsevier;2019.

3. Haynes RB, Guyatt G, Glasziou P. Core Competencies in Evidence-Based Practice for Health Professionals: Consensus Statement Based on a Systematic Review and Delphi Survey. JAMA Netw Open. 2018;1(2):e180281.

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