検出(情報)バイアス
検出(情報)バイアス
◇確認すべきポイント:
・評価者のマスク化(盲検化・ブラインド)がなされているか
・マスク化されていない場合は、それが結果に及ぼす影響を評価する
検出バイアスとは?
実行バイアスでは、介入を行う段階で起こりうるバイアスについて説明しました。今回説明する検出バイアスは、アウトカムの測定を行う際に、対象者が介入群と対照群のどちらに割り付けられているかを
・「測定者」
に知られないようにしているか、がポイントになります。
介入者と対象者がどちらの群に割り付けられているかわからないようにする方法を、マスク化(盲検化・ブラインド)と呼びます。マスク化がされていない場合は、それがアウトカムにどの程度の影響を与えるかを考える必要があります。以下の研究を参考に考えてみましょう。
研究例
・対象:65歳以上の健常高齢者80名
・介入群(40名):理学療法とエルゴメータ(自主トレーニング)の併用
・対照群(40名):エルゴメータ(自主トレーニング)単独
・アウトカム:歩行速度(10m歩行テスト、6分間歩行テスト)
リハビリテーション満足度(研究機関で独自に作成)
自主トレーニング時間
例)アウトカムへの影響が大きい場合
評価者が割り付けを知ってしまった場合、介入群に効果が出やすいように測定を変更してしまう可能性があります。研究例では、割り付けを知っている評価者が10m歩行や6分間歩行テストを行う際に、介入群が有利なようにストップウォッチを早く押してしまうことや、タイムが速くなるような声掛けを行ってしまう可能性があります。
また、満足度といった対象者の主観が入り込む評価では、介入群のみ担当の理学療法士が聞き取る場合は、評価者に気をつかい満足度を高い点数をつけることや、回答を誘導する可能性があります。これを質問者バイアスと呼びます。同様に自主トレーニング時間に関しても時間を長く報告する可能性があります。これを社会的のぞましさバイアスと呼びます。
他方、マスク化をしなくても死亡や血糖値など評価者の意図が入りこまない場合は、アウトカムへの影響は少ないと考える場合もあります。